いのきちおやじのひとりごと「日曜日のむずむず 8」

 

 

いのきちおやじ

あのね、僕に探させて。お願い。「あーん」

 書店の話になったのでひと言。最近大型店と呼ばれる本屋さんで、本を探すことができる装置というかディスプレーが置いてある店がある。自分で書名や著者名を入力して、どこの棚にあるのか調べるやつである。急いでいる時とか、有るべきところに無い時など、仕方無しに頼る代物である。

本屋さんに行く理由は、買いたい本を探しにいく時、最近なにか面白そうな本が出ていないか覗きにいく時などである。わざわざ行かずネットで買えばいいじゃないか、という声もあるが、本屋好きは、ぶらぶらじろじろべろべろ物色するのが楽しいのだ。それに『いのきちさん』(井の頭・吉祥寺・三鷹)周辺にはいい本屋さんが沢山あるではないか。

 先日、ある本屋さんで、探したい本が見当たらず、降参状態で店員さんに聞いてしまった。そうしたら例の装置で調べられ、「アッ1冊在庫があります」と来た。自分で調べればよかった。装置の順番待ちに並べば良かったと反省していた隙に、「今取ってきます」の声。「オイオイ場所だけ教えてくれたらいいんだよ」と言う前に、消えた店員。

 あのね、僕に探させて。お願い。自分で探したいの。やっとめぐり合えたという感動を味わいたいの。「何だこんなところに居たのか、ずいぶん探したぞ」「貴方を待っていたのよ、寂しかったわ」なんていう人と本の会話が成立したの。ついでに隣近所の本にも挨拶したかったの、「長い間こいつがお世話になりました。ン、よく見れば貴女も素敵だね、また今度」なんて。だからわざわざ本屋さん来てんの。出会いが人生なの。「あーん」(涙)。

(つづく)